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Rでチューキークレーマー法(Tukey‒Kramer法)をやろう

2023年11月19日

チューキークレーマー法の基本

チューキークレーマー法(Tukey-Kramer method)は、複数のグループ間の平均値の比較に用いられる統計的手法です。この方法は、F統計量を用いない多重比較なので、特に分散分析(ANOVA)を行わなくても検定することができます。チューキークレーマー法は、「どのグループ間に差があるか」を特定するために使われます。また、チューキークレーマー法は、異なるサイズのサンプルにも適用可能です。

統計的背景

  • 多重比較問題: 複数の比較を行うと、誤った結果(第一種の過誤)が生じる確率が上昇します。チューキークレーマー法は、この多重比較問題に対処するために設計されています。
  • 平均値の差の信頼区間: この方法は、異なるグループ間の平均値の差の信頼区間を計算し、それらが統計的に有意かどうかを評価します。

手順

  1. 個別の比較: チューキークレーマー法を用いて、個々のグループペア間の平均値の差を評価します。
  2. 信頼区間の計算: 各グループペア間で平均値の差の信頼区間を計算します。
  3. 統計的有意性の判断: 信頼区間が特定の値(通常は0)を含まない場合、そのグループペア間には統計的に有意な差があると判断されます。

例題をR言語で検定してみよう

例題: 農薬の効果テスト

3種類の農薬(A、B、C)の効果を比較するため、異なる農場で各農薬を試験し、収穫量(kg)を測定しました。これらのデータを用いて、チューキークレーマー法による検定を行います。

データ

  • 農薬A: n=10, データ = [20, 22, 19, 20, 21, 20, 19, 21, 22, 20]
  • 農薬B: n=10, データ = [25, 26, 24, 25, 26, 25, 24, 26, 27, 25]
  • 農薬C: n=10, データ = [23, 22, 24, 23, 22, 23, 24, 23, 22, 24]

R言語を用いた検定の手順

# データの準備
A <- c(20, 22, 19, 20, 21, 20, 19, 21, 22, 20)
B <- c(25, 26, 24, 25, 26, 25, 24, 26, 27, 25)
C <- c(23, 22, 24, 23, 22, 23, 24, 23, 22, 24)
data <- data.frame(value = c(A, B, C), group = factor(rep(c("A", "B", "C"), each = 10)))

plot(value~group,data=data) 

ここまで実行すると次のように箱ひげ図のグラフが表示されます。

続いてチューキークレーマー法を実施するスクリプトを書きます。


# チューキークレーマー法
library(multcomp)
tukey <- glht(aov(value ~ group, data = data), linfct = mcp(group = "Tukey"))

summary(tukey)

opar <- par(mai=c(1,1.5,1,1),cex.axis=2)	#余白(辺、左、上、右)とラベル大きさ変更
plot(tukey)	#信頼区間のグラフを表示させます。

すると次のような結果となります。

B-A、C-A、C-Bどの組み合わせでも信頼区間がゼロをまたいでいないので、どの群間比較でも有意差ありという結果になります。

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