広告 折れ線グラフ

Rで折れ線グラフに信頼区間を追記する方法

2023年10月31日

データの傾向を示す際、折れ線グラフは非常に有用です。特に、気温のような時系列データに信頼区間を追加することで、データの変動範囲と信頼性を視覚的に表現できます。この記事では、実際の気温データを用いて、Rで折れ線グラフに信頼区間を追加する方法を、具体的なスクリプト例を交えて解説します。

ステップ1: 必要なパッケージのインストールと読み込み

折れ線グラフに信頼区間を追加するためには、ggplot2パッケージが便利です。まずはこのパッケージをインストールし、読み込みます。

install.packages("ggplot2")
library(ggplot2)

ステップ2: 実際の気温データの準備

ここでは、ある都市の過去数年間の月別平均気温データを使用します。

# 架空の気温データ
temperature_data <- data.frame(
year = rep(2015:2019, each = 12),
month = rep(1:12, times = 5),
temp = c(6, 7, 10, 15, 20, 25, 30, 29, 24, 18, 12, 8, 5, 6, 11, 16, 21, 26, 31, 30, 25, 19, 13, 9, 4, 5, 9, 14, 19, 24, 29, 28, 23, 17, 11, 7, 6, 7, 10, 15, 20, 25, 30, 29, 24, 18, 12, 8, 5, 6, 11, 16, 21, 26, 31, 30, 25, 19, 13, 9)
)

ステップ3: 月別平均気温と信頼区間の計算

月別の平均気温と信頼区間を計算します。

library(dplyr)

# 月別平均気温と標準誤差の計算
temp_summary <- temperature_data %>%
group_by(month) %>%
summarise(mean_temp = mean(temp), se = sd(temp) / sqrt(n()))


# 信頼区間の追加
temp_summary <- temp_summary %>%
mutate(lower = mean_temp - qt(0.975, df=n()-1) * se,
upper = mean_temp + qt(0.975, df=n()-1) * se)

信頼区間の追加のスクリプトの各部分の意味は次のとおりです。

  • mutate(...): dplyrパッケージのmutate関数は、既存のデータフレームに新しい列を追加するために使用されます。ここでは、lowerupperという二つの新しい列を追加しています。

  • lower = mean_temp - qt(0.975, df=n()-1) * se: この式は、平均値から信頼区間の下限を計算します。qt(0.975, df=n()-1)は、自由度df(ここではデータポイントの数から1を引いた値)を持つt分布の97.5パーセンタイルを返します。これは、95%の信頼区間の下限を求めるために使用されます(両側のために2.5%を引きます)。seは標準誤差です。

  • upper = mean_temp + qt(0.975, df=n()-1) * se: この式は、平均値から信頼区間の上限を計算します。ここでもt分布の97.5パーセンタイルを使用して、95%の信頼区間の上限を求めます。

ここまでのスクリプトを実行すると次のようなグラフになります。

ステップ4: 折れ線グラフと信頼区間の追加

計算した平均気温と信頼区間を使用して、折れ線グラフに信頼区間を追加します。

ggplot(temp_summary, aes(x = month, y = mean_temp)) +
geom_line() +
geom_ribbon(aes(ymin = lower, ymax = upper), alpha = 0.2) +
scale_x_continuous(breaks = 1:12, labels = month.abb) +
ggtitle("月別平均気温と信頼区間") +
xlab("月") +
ylab("平均気温 (°C)") +
 theme(panel.background = element_rect(fill = "white"))

このコードは、月ごとの平均気温を折れ線グラフで描画し、geom_ribbonを使用して信頼区間を表現します。alphaパラメータは信頼区間の透明度を調整します。

ここまでのスクリプトを実行すると次のようなグラフになります。

まとめ

この記事では、Rとggplot2パッケージを使用して、実際の気温データに基づく折れ線グラフに信頼区間を追加する方法を紹介しました。データの準備から平均値と信頼区間の計算、グラフの作成までのステップを具体的なスクリプト例を交えて解説しました。

特殊なグラフ

2024/4/26

R言語でQQプロットを作成する方法

はじめに QQプロット(Quantile-Quantileプロット)は統計分析で非常に役立つツールです。これを使って、データセットが特定の理論分布に従っているかどうかを視覚的に評価することができます。R言語には、この種のプロットを簡単に作成できる強力なツールが用意されています。この記事では、R言語を使用してQQプロットを作成する基本的なステップを説明します。 必要なパッケージ QQプロットを描くためには、基本的にstatsパッケージが必要ですが、これはRの標準パッケージに含まれているため、特別なインストー ...

ReadMore

グラフのカスタマイズ

2024/4/17

Rでエラーバー付きのグラフを作成する方法

はじめに データの可視化において、エラーバーはデータの変動や不確実性を表現する重要な手段です。R言語を用いたグラフ作成においてエラーバーを追加する方法を学ぶことで、データの解釈をより深く行うことが可能になります。この記事では、基本的なエラーバーの追加方法から、カスタマイズする方法までを段階的に解説します。 エラーバーを含むグラフの重要性 エラーバーは、データ点のばらつきや測定の不確かさを表すのに役立ちます。科学研究や技術報告でよく見られるこの表現方法は、データの信頼性や有効性を視覚的に伝えるために不可欠で ...

ReadMore

グラフのカスタマイズ

2024/4/17

R言語でのグラフ作成:X軸とY軸のスケール比の設定方法

はじめに R言語はデータ分析と可視化に非常に強力なツールです。特にグラフ作成機能は多くのデータサイエンティストや研究者に利用されています。この記事では、R言語でグラフを作成する際にX軸とY軸のスケール比を設定する方法を詳しく解説します。スケール比を調整することで、データの比率や関係性をより正確に表現することが可能になります。 グラフの基本的な作成方法 まず、R言語で基本的なグラフを作成する方法から見ていきましょう。ここでは、plot() 関数を使用してシンプルな散布図を描きます。 # サンプルデータの生成 ...

ReadMore

特殊なグラフ

2024/4/18

R言語でバイオリンプロットを作成する方法:データの分布を視覚化

はじめに バイオリンプロットは箱ひげ図の概念を拡張したもので、データの分布密度も同時に表現できるグラフです。この記事では、R言語を用いてバイオリンプロットを作成する手順を、基本から応用まで丁寧に解説します。 バイオリンプロットとは? バイオリンプロットは、データの確率密度を視覚的に表現する方法の一つで、中央値や四分位数といった統計量だけでなく、データの分布形状も示すことができます。これにより、データの全体的な傾向をより詳細に把握することが可能になります。 Rでバイオリンプロットを作成する Rでは、ggpl ...

ReadMore

グラフのカスタマイズ

2024/4/18

R言語で箱ひげ図に平均値を追加する方法

はじめに 箱ひげ図はデータの分布、特に四分位数や極値を視覚的に表現する強力なツールですが、時には平均値を表示することでデータの理解をさらに深めることができます。この記事では、R言語を使用して箱ひげ図に平均値を追加する方法を解説します。 箱ひげ図とは? 箱ひげ図(Boxplot)は、データの中央値、四分位数、外れ値を表示し、データの分布を要約するのに役立ちます。しかし、平均値もまたデータの中心傾向を理解するのに重要な指標であり、これを箱ひげ図に追加することで、さらに多角的なデータ解析が可能になります。 Rで ...

ReadMore

回帰分析

2024/4/26

R言語で始めるRidge(リッジ)回帰:理論から実践まで【初心者向けガイド】

はじめに リッジ回帰は線形回帰モデルの一種で、予測変数間の多重共線性を扱いやすくするために正則化項を導入します。この記事では、R言語を使用してリッジ回帰を行う方法を、理論の説明から具体的なコードの実行まで段階的に解説します。 リッジ回帰の基礎 リッジ回帰(Ridge Regression)は、回帰分析において共線性を緩和し、モデルの過学習を防ぐために導入される技法です。具体的には、損失関数にL2正則化項(係数の二乗の和)を加えることで、係数の絶対値を抑え、より一般化されたモデルを生成します。 データの生成 ...

ReadMore

回帰分析

2024/4/26

R言語でLASSO回帰(ラッソ回帰)をマスター! 初心者でも理解できる実践ガイド

はじめに LASSO回帰(らっそかいき)は、機械学習でよく用いられる線形回帰モデルの一種です。LASSO回帰は、過学習を防ぎ、モデルの解釈性を高めるという特徴を持ちます。近年、データ分析や予測モデル構築において、LASSO回帰は非常に重要な役割を果たしています。 このブログ記事では、R言語を用いたLASSO回帰の実践的な方法を解説します。初学者の方でも理解しやすいように、基礎的な説明から具体的な操作手順まで、丁寧に説明していきます。 L1正則化とは? L1正則化は、損失関数に対して係数の絶対値の和を加える ...

ReadMore

統計検定

2024/2/28

クラスカルウォリス検定とは? 実際にRでやってみよう

統計学の中でも特に興味深いツールであるクラスカル・ウォリス検定について、より深く掘り下げてみましょう。この検定は、特にサンプルサイズが小さい場合や、データが正規分布に従わない場合に重宝されます。 クラスカル・ウォリス検定とは何か? クラスカル・ウォリス検定(Kruskal-Wallis test)は、簡単に言うと、3つ以上のグループのデータが同じ特性を持っているかどうか(言い換えると、サンプル群の中央値に差があるかどうか)を調べるための統計的手法です。これは、通常の分散分析(ANOVA)の代わりに使われる ...

ReadMore

統計検定

2024/2/28

Rでチューキークレーマー法(Tukey‒Kramer法)をやろう

チューキークレーマー法の基本 チューキークレーマー法(Tukey-Kramer method)は、複数のグループ間の平均値の比較に用いられる統計的手法です。この方法は、F統計量を用いない多重比較なので、特に分散分析(ANOVA)を行わなくても検定することができます。チューキークレーマー法は、「どのグループ間に差があるか」を特定するために使われます。また、チューキークレーマー法は、異なるサイズのサンプルにも適用可能です。 統計的背景 多重比較問題: 複数の比較を行うと、誤った結果(第一種の過誤)が生じる確率 ...

ReadMore

統計検定

2024/2/28

ウィルコクソンの符号付順位和検定(Wilcoxon Signed-Rank Test)とは? 実際にRでやってみよう

ウィルコクソンの符号付順位和検定(Wilcoxon Signed-Rank Test)は、統計学において広く使われているノンパラメトリックな検定方法です。この検定は、特にサンプルサイズが小さい場合やデータが正規分布に従わない場合に有効で、対応する2つのサンプル間の中央値の差異が偶然によるものかどうかを評価するために使用されます。以下では、この検定の基本的な概念、手順、適用例、注意点を初学者向けに詳しく解説します。 ウィルコクソンの符号付順位和検定の基本概念とは ウィルコクソンの符号付順位和検定は、2つの関 ...

ReadMore

-折れ線グラフ
-